指揮 飯守 泰次郎（桂冠名誉指揮者）
Conductor Taijiro Iimori (Honorary Conductor Laureate)

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  ブリュンヒルデ
  Brünnhilde

  ダニエラ・ケーラー
  Daniela Köhler

  Profile

  ブリュンヒルデ
  ダニエラ・ケーラーBrünnhilde : Daniela Köhler

  「女性のパワーが渦巻く中、ドラマティック・ソプラノの若きスター、ダニエラ・ケーラーが扮するブリュンヒルデが現れる。『ワルキューレの騎行』の演奏と力強い「ホヨトホ」の歓声が響く中、彼女は舞台に登場する。女性出演者の中では、彼女こそが今宵のハイライトだ。愛の証たる『指輪』をその手中に収め、そしてそれを「ラインの乙女」に手渡すのは彼女だ。」
  ダニエラ・ケーラーは声楽をシュトゥットガルトにおいてユリア・ハマリ教授とベルンハルト・イエガー・ベーム教授に、カールスルーエ音楽大学でイングリット・ホーボルト教授に師事した。ゾンタ・カールスルーエ、カールスルーエ・ダーラッハ・ライオンズクラブ、並びにバーデンバーデンのリヒャルト・ワーグナー協会から奨学金を授与された。2010年、ダニエラ・ケーラーはスヘルトーヘンボスの国際声楽コンクールで1位に輝いた。2017年のバイロイト音楽祭では、ブリギッテ・ファスベンダーやステファン・グールド等のマスタークラスに参加し、2007年から2009年にかけては、カールスルーエ・バーデン州立劇場のオペラ・スタジオのメンバーとして活動し、以後同劇場に定期的に客演している。
  2014年、バルセロナのリセウ大劇場で、ジュゼップ・ポンス指揮による「ワルキューレ」でヘルムヴィーゲ役へのデビューを成功させると、2016年と2018年にはライプツィヒ歌劇場とバイエルン国立歌劇場でキリル・ペトレンコの指揮でこの役に抜擢された。2017-18シーズンには、ヘルムヴィーゲに加え、自身初の、そして絶賛を博したジークリンデ役をライプツィヒで歌った。彼女のレパートリーにはこの他レオノーレ（フィデリオ）、ブリュンヒルデ（ジークフリート）、ブリュンヒルデ（一晩でワーグナーのリング）、ジュリア（ヴェスタの巫女）、「ノルマ」のタイトルロールなどがある。
  2018年のバイロイト音楽祭において代役で「ワルキューレ」のジークリンデを歌ったダニエラ・ケーラーは、同音楽祭の有名企画「子供のためのニーベルングの指輪」で、ブリュンヒルデのすべてのパートを歌った。2018-19シーズンには、マインツ州立劇場、エッセンのアアルト歌劇場、マンハイム国立劇場でロリオットの「一晩でワーグナーのリング」でブリュンヒルデを歌った。2019年、バイロイト音楽祭のアブダビ・ツアーに参加し、カタリーナ・ワーグナー演出、マルクス・ポシュナー指揮による「ワルキューレ」でジークリンデを歌った。春にはライプツィヒで「ジークフリート」のブリュンヒルデでのセンセーショナルなデビューを果たし、11月にはリール国立管弦楽団演奏のマーラーの交響曲第8番で、高い技術を求められるそのソプラノ・パートを歌った。2019/20シーズン、再びマインツでロリオットの「リング」に出演してブリュンヒルデを、ケムニッツで「フィデリオ」のレオノーレを、マドリッドでの新演出「ワルキューレ」でヘルムヴィーゲを、ライプツィヒ歌劇場とケムニッツ劇場で「ジークフリート」のブリュンヒルデを歌う。夏には2020年のハイライトとなるバイロイト音楽祭への出演が予定されており、新演出による「ニーベルングの指輪」四部作公演において、「ジークフリート」のブリュンヒルデを世界中のワーグナー・ファンに披露する。その後秋にはエッセンのアアルト歌劇場で「タンホイザー」のエリーザベト役へのデビューを果たす。また、ケムニッツでは「こうもり」のロザリンデ役で、彼女のコミカルな一面を見せる。
  ダニエラ・ケーラーはコンサート・シンガーとしても人気が高く、シュトゥットガルトでのシュトゥットガルト放送交響楽団とのコンサートや、サンクトペテルブルクでのマリインスキー歌劇場管弦楽団とのコンサートをはじめとする多くのコンサートに出演している。

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  ジークフリート
  Siegfried

  シュテファン・グールド
  Stephen Gould

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  ジークフリート
  シュテファン・グールドSiegfried : Stephen Gould

  今日トップクラスの人気を誇るヘルデンテノール、ステファン・グールド。2021年はバレンシアで「トリスタンとイゾルデ」、東京での「ニーベルングの指環」（部分）、ハンブルクで「トリスタンとイゾルデ」第2幕、バイロイト音楽祭で「タンホイザー」と「パルジファル」に出演することが決まっている。
  また、シュトゥットガルトでテオドール・クルレンツィス指揮によりマーラー「大地の歌」を、またハンブルクでは演奏会形式による「トリスタンとイゾルデ」第2幕を歌う。
  2022年にはベルリンでの「タンホイザー」、バイロイト音楽祭での「タンホイザー」と「神々の黄昏」をはじめ、すでに多くの出演が予定されている。
  これまでのシーズンで話題を呼んだ演目には、ウィーン、ドレスデン、東京、カールスルーエ、フィレンツェでの「オテロ」、パリ、ドルトムント、ロッテルダム、ウィーン、ブエノスアイレス、ザルツブルク音楽祭、ドレスデンでの「影のない女」、ワシントンとニューヨークでの演奏会形式による「トリスタンとイゾルデ」第2幕、ハンブルク、ウィーン、ドレスデンでの「ナクソス島のアリアドネ」、サンクトペテルブルクのオペラボール出演、ロンドンのBBCプロムスでのワグネリアン・コンサート、バイロイト音楽祭、ブダペスト、ウィーン、マンハイム、ラス・パルマス、パリ、東京、ジュネーヴでの「タンホイザー」、アブダビでのバイロイト音楽祭との「ワルキューレ」、ドレスデンでの「ナクソス島のアリアドネ」、東京、ハンブルク、ドレスデン、ミュンヘン、フィレンツェ、ローマでの「フィデリオ」、ウィーン、ドレスデン、アムステルダム、ベルリン、ミュンヘン、バイロイト、ニューヨークでの「ジークフリート」並びに「神々の黄昏」、バーデンバーデン、ウィーンでの「パルジファル」、アムステルダム、ハンブルク、カールスルーエ、バイロイト音楽祭、チューリッヒ、ロンドン、東京、ドレスデン、ベルリンでの「トリスタンとイゾルデ」、バーミンガム、パリ、ベルリン、ア・コルーニャでの演奏会形式による「トリスタンとイゾルデ」、東京での初の「ラインの黄金」ローゲ役と「ワルキューレ」ジークムント役、ベルリンでの演奏会形式による「エレクトラ」での初のエギスト役、ウィーン、ドレスデン、グラーツでの「ナクソス島のアリアドネ」、ハンブルク、ドレスデン、ミュンヘン、東京、フィレンツェ、ローマでの「フィデリオ」、ベルリンでの「道化師」、ハンブルク、トリエステ、ドレスデンでの「ローエングリン」、ウィーン、ベルリン、ドレスデン、グラーツでの「パルジファル」、トリノ、ウィーン、マドリード、ニューヨーク、ミュンヘン、パレルモでの「さまよえるオランダ人」、バレンシア、フィレンツェでの「トロイアの人々」、ドレスデン、ジュネーヴでの「ピーター・グライムズ」、ドレスデンでの「ダナエの愛」、ベルリン、ウィーン、ロンドンでの「死の都」などがある。
  著名指揮者との共演も数多く、これまでにダニエル・バレンボイム、アイヴァー・ボルトン、リッカルド・シャイー、アダム・フィッシャー、ダニエレ・ガッティ、ハルトムート・ヘンヒェン、マレク・ヤノフスキ、フィリップ・ジョルダン、ファビオ・ルイージ、ズービン・メータ、インゴ・メッツマッハー、ケント・ナガノ、アンドリス・ネルソンス、小澤征爾、サイモン・ラトル、ドナルド・ラニクルズ、エサ＝ペッカ・サロネン、ヤニック・ネゼ＝セガン、クリスティアン・ティーレマン、フランツ・ウェルザー＝メスト、デイヴィッド・ジンマンと共演。
  これまでにベートーヴェン「交響曲第9番」をベルリンとミュンヘンで、ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」をシカゴで、シェーンベルク「グレの歌」をドレスデン、ミュンヘン、モントリオール、ベルリン、ブリュッセル、アムステルダム、ヘルシンキ、モントルー、ルツェルン音楽祭で、マーラー「交響曲第8番」をベルゲン、ニューヨーク（ピエール・ブーレーズ指揮）、ライプツィヒ、パリ、ウィーン、ブダペストで、マーラー「大地の歌」をシカゴ、ベルリン、グラーツ、ルツェルン、パリ、プラハで、ストラヴィンスキー「エディプス王」をロンドンで歌っている。
  録音活動としては、ドナルド・ラニクルズ指揮のベートーヴェン「交響曲第9番」、クリスティアン・ティーレマン指揮「ジークフリート」、「神々の黄昏」、「トリスタンとイゾルデ」、マレク・ヤノフスキ指揮「ジークフリート」、「トリスタンとイゾルデ」などのレコーディングがある。
  2015年5月、オーストリア宮廷歌手の称号を授与された。

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  アルベリヒ、ヴォータン／さすらい人、グンター
  Alberich,Wotan/Wanderer,Gunther

  トマス・コニエチュニー
  Tomasz Konieczny

  Profile

  アルベリヒ、ヴォータン／さすらい人、グンター
  トマス・コニエチュニーAlberich,Wotan/Wanderer,Gunther : Tomasz Konieczny

  トマス・コニエチュニーはウィーン国立歌劇場の2013年ワーグナー生誕200年記念公演におけるアルベリヒ役、ヨカナーン役、ヴォータン/さすらい人役、さらに同歌劇場2013/14シーズン開幕初日の「西部の娘」のジャック・ランス役でセンセーショナルな成功を収め、以後カルディヤック、ヨカナーン、テルラムント伯爵など、現在彼がレパートリーとしているオペラの重要な役どころの多くをウィーン国立歌劇場で歌い、その活躍の場はメトロポリタン・オペラ、バイロイト音楽祭、テアトロ・レアル（マドリード）へと広がった。
  1972年、ポーランドのウッチに生まれたトマス・コニエチュニーは同地の映画アカデミーで演劇を学んだ後、劇場俳優として活動し、様々な映画、テレビ作品の制作に関わる。ワルシャワのフレデリック・ショパン音楽アカデミーで声楽を学んだ後ドレスデンの音楽大学に進み、クリスティアン・エルスナー教授に師事。1998年、カルロヴィ・ヴァリで開催された第33回ドヴォルザーク国際声楽コンクールで入賞を果たす。
  1997年、ポーランドのポズナン歌劇場の「フィガロの結婚」でフィガロを歌って歌手としてデビュー。その後、ライプツィヒ、ザンクト・ガレン、ケムニッツ、マンハイムの歌劇場に出演。2002年にマンハイム国立歌劇場のアンサンブルの専属メンバーとなり、才能に恵まれた若手アーティストに贈られるアーノルド・ピーターセン賞を受賞。2005年にライン・ドイツ・オペラで「後宮からの誘拐」のオスミン、2006年に「ラインの黄金」のヴォータンを歌い、引き続き2006年から2014年にかけて、同歌劇場のアンサンブルで「ペレアスとメリザンド」のゴロー、「パルジファル」のアンフォルタス、「トリスタンとイゾルデ」のクルヴェナール、「さまよえるオランダ人」のオランダ人、「影のない女」のバラック、「ピーター・グライムズ」のボルストロード、「イタリアのトルコ人」のセリム、ファルスタッフ、「カルメン」のエスカミーリョを歌う。
  2006年以降、ブダペストのワーグナー・フェスティバルに定期的に出演し、アンフォルタス(2006)、「ワルキューレ」ヴォータン（2007、2009）、さすらい人(2010)、クルヴェナール(2010/11)を歌って好評を博す。2008年には「ラインの黄金」のアルベリヒ並びにジークフリートでドレスデンのゼンパー・オーパーに華々しくデビュー。ゼンパー・オーパーではその後「ラインの黄金」のアルベリヒを歌い、2016年にクリスティアン・ティーレマン指揮「ローエングリン」のテルラムントで大成功を収める。マドリードのテアトロ・レアルでは「マクロプロス事件」のコレナティー博士役で出演。2010年、プラハ国民劇場でのオッフェンバック「ホフマン物語」において、4人の悪役にデビュー。また2011年の同劇場の「パルジファル」ではアンフォルタスを歌い、その芸術性が高く評価される。2010年4月、「ニーベルングの指輪」のアルベリヒでベルリン・ドイツ・オペラに輝かしいデビューを果たす。パリ国立オペラには「タンホイザー」ビーテロルフで2011年にデビューし、2017年の「ローエングリン」テルラムントで大きな成功を収める。2012年には「フィデリオ」のピツァロを歌ってケネディ・センター（ワシントン・ナショナル交響楽団）とミュンヘンのバイエルン国立歌劇場にデビュー。2012年夏にはザルツブルク音楽祭へのデビューとなったツィンマーマンの「兵士たち」のシュトルツィウスが大きな話題を呼ぶ。2016年には同音楽祭において、フランツ・ウェルザー＝メスト指揮によるシュトラウス「ダナエの愛」のジュピターで再び絶賛を浴びる。
  2013年、ワーグナー「ニーベルングの指輪」で２枚のアルバムをリリース。マレク・ヤノフスキ指揮でヴォータンを歌ったもの（ペンタトーン）と、クリスティアン・ティーレマン指揮でアルベリヒを歌ったもの（ドイツ・グラモフォン）で、いずれもマスコミから高い評価を受ける。2015年にはサイモン・ラトルの指揮でアルベリヒを歌った「ラインの黄金」の録音がリリースされ、「ローエングリン」（ティーレマン/ベチャワ/ネトレプコ/コニエチュニー）と「ダナエの愛」（ウェルザー＝メスト/ストヤノヴァ/コニエチュニー）がDVDとブルーレイで2017年にリリースされた。
  2014年初め、「サロメ」のヨカナーンでニューヨークのカーネギー・ホールに華々しくデビュー。2015年11月にシカゴ・リリック・オペラで歌ったベルク「ヴォツェック」のタイトルロールは、コニエチュニー自身にとって大きな意味をもつ成功となった。2017年5月「ドン・ジョヴァンニ」騎士長でミラノ・スカラ座に、同年10月「アラベラ」マンドリーカでトロントのカナディアン・オペラ・カンパニーに、2018年1月「ワルキューレ」ヴォータンでトゥールーズのキャピトル国立劇場に、2018年3月「ホフマン物語」4人の悪役で東京新国立劇場に、それぞれデビューを果たす。2018年のバイロイト音楽祭開幕ではクリスティアン・ティーレマンの指揮で「ローエングリン」テルラムントを歌い、同音楽祭へデビュー。その直後に「ヘンゼルとグレーテル」の父親役でエディンバラ国際フェスティバルと「ショパンと彼のヨーロッパ音楽祭」（ワルシャワ）へデビュー。ワルシャワではリーダー・リサイタルも開催し、同時にシューベルト「冬の旅」（スタニスラフ・バランチャクによるポーランド語訳詞）のCDをリリース。2019年3月9日には「ラインの黄金」のアルベリヒを歌ってニューヨーク・メトロポリタン・オペラにデビュー。ニューヨークタイムズ紙のアンソニー・トマシーニは『出演者の中でひと際異彩を放っていたのは、今回がメットへのデビューとなった実力派バス、アルベリヒ役のトマス・コニエチュニーだった』と絶賛した。
  ウィーン国立歌劇場は2009年以来コニエチュニーにとって芸術面での拠り所となっている。ここではこれまでに「西部の娘」ジャック・ランス、「ニーベルングの指輪」ヴォータン、「トスカ」スカルピア男爵、「アラベラ」マンドリーカ、「サロメ」ヨカナーン、「ローエングリン」テルラムント、「フィデリオ」ピツァロをはじめとする多くの重要な役を歌っており、常に聴衆の熱狂的な喝采に迎えられている。2017年5月3日、オーストリアの閣僚会議はトマス・コニエチュニーに同国の市民権を与えることが国益に資することを確認。2019年1月16日、ウィーン国立歌劇場の舞台上にて、トマス・コニエチュニーは正式にオーストリアの宮廷歌手に任命された。
  オペラでの活動に加え、コンサート歌手としても大きな成功を収めている。レパートリーにはバッハの「マタイ受難曲」「クリスマス・オラトリオ」、ヘンデル「メサイア」、メンデルスゾーン「エリヤ」、モーツァルト、ヴェルディ、ドヴォルザークの「レクイエム」、ベートーヴェン「交響曲第９番」、ドヴォルザーク「スターバト・マーテル」、ペンデレツキ「コスモゴニア」「ルカ受難曲」「エルサレムの７つの門」、マチエイェフスキ「死者のためのミサ曲」などがある。また、シュトラウス、ラフマニノフ、トヴァルドフスキ、ペンデレツキ、ベートーヴェン、モニューシュコ、シューベルト、マーラー、ムソルグスキー、その他の偉大な作曲家の作品で構成されたプログラムによるリサイタルもすでにドレスデン、ワルシャワ、東京で好評を博している。
  2020/2021シーズンには、マドリードでさすらい人を、ワルシャワでカルディヤックを歌うことが決まっており、「オイディプス王」のクレオン役でハンブルクに招かれている。また、ブダペストでヴォータンとさまよい人が予定されているほか、2021年のバイロイト音楽祭ではテルラムントを歌う。

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  ハーゲン
  Hagen

  妻屋秀和
  Hidekazu Tsumaya

  Profile

  ハーゲン
  妻屋秀和Hagen : Hidekazu Tsumaya

  東京藝術大学卒業。同大学院修了後、ミラノに留学。1994年～2001年ライプツィヒ歌劇場と専属契約し、『ドン・ジョヴァンニ』『タンホイザー』等幅広いレパートリーで活躍。’02年～’11年ワイマール・ドイツ国民劇場専属歌手を務め、ブレゲンツ音楽祭、ドイツ・ライン・オペラ、ハノーバー州立歌劇場、マンハイム国民劇場、ベルリン州立歌劇場等各地でオペラに出演。
  国内でも新国立劇場『魔笛』ザラストロ、『ルチア』ライモンド、びわ湖ホール『さまよえるオランダ人』ダーラント、東京二期会『フィガロの結婚』バルトロ等で絶賛を博している。
  ’18年にはデビュー30周年を迎え、グランドオペラ共同制作バッティストーニ指揮『アイーダ』ランフィス、新国立劇場『フィデリオ』ロッコ等で喝采を浴び、以後も新国立劇場『イオランタ』ルネ王、オペラ夏の祭典『トゥーランドット』ティムール、びわ湖ホール『神々の黄昏』ハーゲン、『ローエングリン』ハインリヒ国王、東京二期会『エロディアード』ファヌエル、『サムソンとデリラ』老ヘブライ人等数々の主要な役で絶賛を博す。
  これまでに出演したオペラは60余作、演じた役は80役、公演数は900を超え、日本を代表するバスとして圧倒的な支持を得ている。
  またコンサートソリストとしても「第九」をはじめヴェルディ「レクイエム」などでも堅実な歌唱を聴かせている。
  第24回ジローオペラ賞、第3回ロシヤ歌曲賞受賞。二期会会員

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  ミーメ
  Mime

  高橋 淳
  Jun Takahashi

  Profile

  ミーメ
  高橋 淳Mime : Jun Takahashi

  東京音楽大学卒業。同大学院を経て二期会オペラスタジオマスタークラス修了。修了時に優秀賞受賞。
  優れた音楽性と精緻な役作りで、新国立劇場、日生劇場、二期会等多数のオペラに出演。
  とりわけP.コンヴィチュニー、宮本亞門他演劇界出身の演出家の下でその才能を開花させている。
  また、近現代作品での活躍も目覚ましく、その多くは日本初演、あるいは世界初演である。
  これまで演じた主な役は、二期会『皇帝ティトの慈悲』タイトルロールをはじめ、『ナクソス島のアリアドネ』バッカス、新国立劇場『ラインの黄金』ミーメ、『さまよえるオランダ人』舵手、びわ湖ホール『サロメ』ヘロデ、『ラインの黄金』及び『ジークフリート』ミーメなど数多く有り、いずれも公演の成功に寄与している。
  コンサートでも、C.デュトワ指揮Ｎ響『カルメン』（演奏会形式）で好評を博す他、06年にはG.アルブレヒト指揮RAI国立交響楽団と共に、ザルツブルク音楽祭他にてヘンツェ『午後の曳航』(演奏会形式)の登役を歌って成功を収め、同演目はベルリン、トリノでも演じている。
  また「カルミナ・ブラーナ」では個性的な歌唱が高い評価を得、我が国に於ける第一人者としての地位を確立。更には久石譲指揮WDOツアーに参加し、テノールとしての新たな可能性を示している。
  今後は2021年11月東京二期会『魔笛』にモノスタトスで出演予定。二期会会員

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  ヴォークリンデ
  Woglinde

  増田 のり子
  Noriko Masuda

  Profile

  ヴォークリンデ
  増田 のり子Woglinde : Noriko Masuda

  東京藝術大学卒業。安宅賞受賞。同大学院研究科及び文化庁オペラ研修所修了。文化庁派遣芸術家在外研修員としてウィーンにて研鑚を積む。
  これまでオペラでは、二期会で宮本亞門が演出した『ドン・ジョヴァンニ』ドンナ・アンナ、『コジ・ファン・トゥッテ』フィオルディリージ、『フィガロの結婚』伯爵夫人などのモーツァルト作品で絶賛を博した他、実相寺昭雄演出二期会『魔笛』パミーナは高い評価を得て再演でも演じ、その様子は日本テレビ《深夜の音楽会》で放映された。
  近年ではワーグナー作品に欠かせぬ存在で、飯守泰次郎指揮二期会『ワルキューレ』ジークリンデをはじめ、新国立劇場『ラインの黄金』『神々の黄昏』ヴォークリンデ、新国立劇場及びびわ湖ホール『ワルキューレ』オルトリンデなどで活躍。
  他にも『カルメン』ミカエラなどで好評を博している。
  コンサートでも端正な歌唱で高く評価されており、宗教曲の他、「第九」をはじめ、マーラー「復活」などで主要オーケストラと共演。
  第53回ジュネーヴ国際音楽コンクール最高位をはじめ、第69回日本音楽コンクール第2位、第9回日本声楽コンクール第2位及び田中路子賞、第10回奏楽堂日本歌曲コンクール第2位など受賞歴多数。二期会会員

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  ヴェルグンデ
  Wellgunde

  金子 美香
  Mika Kaneko

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  ヴェルグンデ
  金子 美香Wellgunde : Mika Kaneko

  東京音楽大学声楽演奏家コース首席卒業。同大学院を経てザルツブルグモーツァルテウム音楽院マスタークラス修了。また二期会オペラ研修所マスタークラス修了時に優秀賞受賞。
  飯守泰次郎指揮二期会『ワルキューレ』グリムゲルデでデビュー。2009年同『ウリッセの帰還』ではペネロペを好演し、10年同『オテロ』エミーリアでも高い評価を得る。その後も新国立劇場『ワルキューレ』グリムゲルデ、同『カルメン』メルセデス、日生劇場『ルサルカ』、同『魔笛』等に出演。
  東京・春・音楽祭へは、マレク・ヤノフスキ指揮14年『ラインの黄金』フロースヒルデ、15年『ワルキューレ』シュヴェルトライテ、17年『神々の黄昏』フロースヒルデ並びに第1のノルン、 カタリーナ・ワーグナー演出の子供のためのワーグナー（バイロイト音楽祭提携公演） 『さまよえるオランダ人』マリーに出演するなど、着実に舞台を踏み経験を重ねる。
  18年の夏にはバイロイト音楽祭に初出演する快挙を成し遂げ、プラシド・ドミンゴ指揮『ワルキューレ』にグリムゲルデで出演し、世界最高峰のワーグナー歌手たちとの共演で成功を収めている。
  コンサートでも「第九」やモーツァルト「レクイエム」等のソリストとして活躍。また2018年には得意とする日本歌曲を収めた待望のファーストアルバム「南天の花」をリリース。第18回奏楽堂日本歌曲コンクール第3位、第15回日仏声楽コンクール第2位及び日本歌曲賞を受賞。平成24年度山口県芸術文化振興奨励賞受賞。
  今後は2021年7月新国立劇場『カルメン』にメルセデスで出演予定。二期会会員

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  フロースヒルデ
  Flosshilde

  中島 郁子
  Ikuko Nakajima

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  フロースヒルデ
  中島 郁子Flosshilde : Ikuko Nakajima

  東京藝術大学卒業。安宅賞、松田トシ賞受賞。同大学院独唱科修了。シエナ・キジアーナ音楽院(伊)マスタークラス修了後、文化庁海外派遣研修員として渡伊。ミラノ市立音楽院等で研鑽を積む。第14回ロッカ・デッレ・マチエ国際声楽コンクール(伊)第２位、第72回日本音楽コンクール第２位等多数入賞。
  帰国後、二期会『イル・トロヴァトーレ』アズチェーナ、『蝶々夫人』スズキ、日生劇場『セビリアの理髪師』ロジーナ、びわ湖ホール『ワルキューレ』フリッカ等で活躍。
  近年では、A.バッティストーニ指揮『カヴァレリア・ルスティカーナ』サントゥッツァで存在感を示す他、二期会＜三部作＞『修道女アンジェリカ』公爵夫人／『ジャンニ・スキッキ』ツィータ、新国立劇場『カルメン』メルセデス、大阪国際フェスティバル S.デュトワ指揮『サロメ』、藤原歌劇団公演（共催:新国立劇場/二期会）『ランスへの旅』メリベーア侯爵夫人等で絶賛をされる。
  またコンサートでも、バッハ「ロ短調ミサ」、モーツァルト及びヴェルディ「レクイエム」、ロッシーニ「小荘厳ミサ曲」、マーラー「交響曲第3番」等でソリストを務め、高い評価を得ている。
  2021年7月二期会『ファルスタッフ』クイックリー、8月同ヴェルディ「レクイエム」にアルトソロで出演予定。二期会会員

• 男声合唱　ワーグナー特別演奏会合唱団
  Male Chorus　Choir for Wagner Special Concert
• 合唱指揮　藤丸崇浩
  Chorus master　Takahiro Fujimaru
• 管弦楽　東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
  Orchestra　Tokyo City Philharmonic Orchestra

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  ダニエラ・ケーラー（ブリュンヒルデ役）

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  ブリュンヒルデ役／ダニエラ・ケーラーBrünnhilde / Daniela Köhler

  ブリュンヒルデの魅力はどんなところにありますでしょうか？

  ケーラー：ブリュンヒルデは1つの役というより、3つの楽劇にそれぞれいわば3人のブリュンヒルデ役があるのですが、私のようなファッハ（声種）のソプラノにとって非常に特別なチャレンジを意味します。音楽的にも技術的にも、感情面でも、最も要求の大きい役柄のひとつです。特別な強さと知性、決断力を備えた、真に勇敢なヒロインであり、これほどのキャラクターはオペラの世界においても滅多にいません。彼女は、未来を見通す特別な力を持っていながら、自分の運命を自分で決めることが許されず、とても悲劇的な役どころです。
  「ワルキューレ」では、非常に快活な女神でありヴォータンの愛娘でしたが、勘当され見捨てられて、無防備で平凡な女性となります。再び目覚めた時、ジークフリートに出会って愛するようになり、「神々の黄昏」で彼に裏切られ、復讐し、最後はラインの黄金と指環をラインの乙女たちに返すのです。こうしてブリュンヒルデは、たった一人の人物にしてはあまりにも多くを体験するのです。
  ブリュンヒルデ役の歌手はこうした彼女のすべてを引き受け、そのうえに鋭敏な音楽的感性と、ワーグナーにおいて常に必須である言葉の明瞭さ、さらに当然ながら、ふさわしい声量と豊かな表現が求められます。
  しかも、3つの楽劇におけるブリュンヒルデは、実際に明らかに声域が異なります。「ワルキューレ」のブリュンヒルデは、（登場時の）「ホヨトホ！」を除けば音域はかなり低く、「ジークフリート」では何よりもまず輝く高音が要求され、「神々の黄昏」においては全ての声域が強靭でなければなりません。したがって、最初は「ジークフリート」のブリュンヒルデでデビューするのがやはり賢明だと思います。

  「ジークフリート」のブリュンヒルデと「神々の黄昏」のブリュンヒルデについてどんなふうにお感じになられますか。

  ケーラー：「ジークフリート」のブリュンヒルデ役は、「神々の黄昏」よりも出番が短いのは明らかです。短いのと、音域がまとまっていることから、役を手中に収めやすく自信にもつながります。感情表現においても、どちらかといえば短い間のことなので、役柄になりきるのもいくらか容易です。
  これに対して「神々の黄昏」のブリュンヒルデは、物語の進行とともに大きく発展するため、演技表現においても音楽的、声楽的にも非常に大きな挑戦です。「黄昏」のブリュンヒルデは極めて多面的であるがゆえに、難しさも増しますが、歌い手にとって興味深くもあるのです。

  最後に、お客様へのメッセージをお願いいたします！

  ケーラー：私は、マンハイム州立劇場およびエッセンのアールト劇場の『一晩でリング』における「神々の黄昏」抜粋で、ブリュンヒルデを歌いました。飯守マエストロの指揮のもと、東京でブリュンヒルデとしてデビューできるのは大変光栄です。著名で経験豊かな素晴らしい音楽家の80歳記念をご一緒に祝福できることを、誇りに思います。

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  シュテファン・グールド（ジークフリート役）

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  ジークフリート役／シュテファン・グールドSiegfried / Stephen Gould

  これまで、何度もジークフリートを演じてこられたと思いますが、グールドさんからみたジークフリート像は、どのようなものでしょうか？歌われる上で大変なところ、あるいは聴きどころはどこでしょうか？

  グールド：私はこれまで、まだ若い「ジークフリート」と「神々の黄昏」のジークフリート両方を、70回近く歌ってきました。当然ながら、長年の間に私の中で役が成長し、変化してきます。この2つのジークフリート役は、演じる者にシェイクスピア劇と同様の要求をします。すなわち、彼の確固たる人物像が浮かび上がってくるまで、ジークフリートと共に長い時間を文字通り「生きる」必要があるのです。
  時間を重ね、歌のテクニックが成熟するにつれて、また演出家の洞察力次第で、この役をどう歌うかが変わってきます。一人の歌手が、声楽的にも芸術的にもジークフリートを歌えるようになる頃には、ある程度の年齢に達した男性が15歳の少年をどうやって表現するか、ということがまたもやチャレンジです。
  2つのジークフリート役はいずれも、かなり高い音域で何時間にもわたって持続することをテノールに要求します。まさに耐久力のテストです。ワーグナーが自作を歌うテノールに3つの異なった声を兼ね備えることを求めている、ということにほとんどの方はお気付きではないでしょう。3つの声とは、ヘルデン・テノール、キャラクター・テノール 、そしてリリック・テノールです。このコンビネーションがあってこそ、ワーグナーが彼のすべての芸術作品で求めているパワー、叙情性、そして言葉の表現を創り出すことができるのです。

  最後に、お客様へのメッセージをお願いいたします！

  グールド：マエストロ飯守は、ワーグナーの音楽およびドイツ・ロマン派について、広大無辺な知識と経験をお持ちです。彼のもと、新国立劇場でローゲ、ジークムント、2人のジークフリートを、音楽に対する真に模範的なアプローチで歌えたことは、私にとって大変実り多く、最高の喜びでした。私が『指環』のすべての役を発展させていく上で、彼と四部作すべてをご一緒できたことは非常に役立っている、と確信しています。今回のコンサートは、私にとって今も続いている『指環』の物語なのです。

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  トマス・コニエチュニー
  （アルベリヒ、ヴォータン／さすらい人、グンター役）

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  アルベリヒ、ヴォータン／さすらい人、グンター役／トマス・コニエチュニーAlberich,Wotan/Wanderer,Gunther / Tomasz Konieczny

  今回3つの役を演じることについていかがお考えでしょうか。それぞれの役の印象や、キャラクターについてどのようにお考えでしょうか。そのイメージをお聞かせください。

  コニエチュニー：『ニーベルングの指環』のすべての登場人物は、ワーグナーが、人間の精神のさまざまな側面を探究し、描き出そうとして創り出したキャラクターです。鏡に映すかのように正反対でありながらそっくりな人物が相対する、ある種の対立軸もあります。例えば、ヴォータンには、いわば「アンチ・ヴォータン」というべきアルベリヒがいますが、ある意味ではグンターも、支配者にして神たるヴォータンとは正反対です。
  四部作の中で、「光のアルベリヒ」（ヴォータン）と「闇のアルベリヒ」（アルベリヒ）に言及する対話が数回あります。ヴォータンが光のアルベリヒならば、アルベリヒは闇のアルベリヒのはずですが…しかし、常にヴォータンが“善”でアルベリヒが“悪”と考えると、誤りをおかすことになります。ヴォータンはしばしば、極めてネガティブな人物であり、策略家と化し、二枚舌で自己陶酔的です。一方、アルベリヒはだいたいにおいて、貴重な価値ある何かのために犠牲を払わねばならず、実は一度ならずただ真実を語り、すべてを失う極めて不幸な人物として描かれます。
  グンターは少し違っていて、彼は支配者のカリカチュアの一種で、意気地なしの偽物であり、神たるヴォータンの影すらないのです。「神々の黄昏」の舞台に、もはやヴォータンは登場せず、弱々しいグンターが自分で妻問いすることもできない姿をさらすのです。

  最後に、お客様へのメッセージをお願いいたします！

  コニエチュニー：ワーグナーはバス・バリトンの声に愛着を持っていたことが知られています。彼はバス・バリトンの声を用いて、人間が持つあらゆる種類の側面を、『指環』のヴォータン、アルベリヒ、グンターという3人の登場人物として作曲しました。私はウィーン国立歌劇場を始めとする世界のメジャー歌劇場の舞台で、順を追ってこの3つのキャラクターを長年にわたって体現してきた歌手で俳優なので、この3役を一夜のコンサートで歌うのは、なおさら大変興味深いことです。なんと素晴らしいアイディアでしょう！

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  妻屋秀和（ハーゲン役）

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  ハーゲン役／妻屋秀和Hagen / Hidekazu Tsumaya

  過去にも飯守と共演されていますが、飯守のワーグナー作品の曲創りに対する印象はどのように感じていますか？また思い出深いエピソードなどもありましたら教えてください。

  妻屋：飯守先生とは先生が新国立劇場の芸術監督に就任されてから共演させていただいたり、お側でお仕事を拝見させていただきましたが、妥協を知らない丁寧で繊細な音楽作りにいつも感銘を受けておりました。今回ご指名いただけたこと、大変光栄に感じております。

  これまで、今回のハーゲンをはじめ、本作品に登場するほかのキャラクターの役も演じてこられていますが、ハーゲンというキャラクターは、『ニーベルングの指環』の中でどのようなもの（存在）でしょうか。

  妻屋：ハーゲンは昨年びわ湖ホール公演で初めて演じさせて頂きました。長大な指環の物語を終結させる為に現れた敵役で、指環を取り戻し力を得たいと願っており、目的遂行の為に手段を選びません。大変魅力的な役で以前から演じたいと思っていました。今回代役ですが再びこの役に向き合う機会をいただけましたことに感謝しております。

  最後に、本公演に向けての意気込みや、お客様へのメッセージをお願いいたします！

  妻屋：今回、ペーゼンドルファー氏の来日を期待していたお客様にとっては残念な結果になってしまいましたし、代役が僕になったことでがっかりなさった方もいらっしゃると思います。ですが、僕はこれまでドイツで代役をきっかけにジャンプアップしてきました。今回も大きなチャンスをいただいたと思い全力で演じます。どうぞご期待ください。

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  高橋 淳（ミーメ役）

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  ミーメ役／高橋 淳Mime / Jun Takahashi

  開催を控え、高橋さんの今のお気持ちをお聞かせください。

  高橋：飯守泰次郎先生の傘寿をお祝いする特別演奏会に出演させていただけることを、大変光栄に思っております。そして、ハイライトとはいえ、なかなか関わるチャンスの少ない『ニーベルングの指環』で歌うチャンスをいただけることは、非常に貴重かつありがたいことです。

  過去に飯守と共演されていますが、飯守のワーグナー作品の曲創りに対する印象はどのように感じていますか？思い出深いエピソードなどもありましたら教えてください。

  高橋：飯守先生は、ご自身の理想となさる歌い方や声が出るまで、決して諦めず稽古を繰り返します。歌うのが大変な場所でもです！正直なところ、ヘトヘトになってしまう時もありました。
  でも、稽古中にお話しくださるお言葉は、豊かな経験に基づく含蓄にあふれたものであり、歌う上での大きなヒントとなります。そうして稽古を重ねて出た声や響きは、歌い手本人にとっても至極納得がいきます。
  さらに、本番での飯守先生の指揮は、縛り統率するのではなく、さまざまなことから演奏者を解放し、のびのびと演奏させてくださいます。演奏後の充実感や達成感は、飯守先生ならではのものです。

  これまでミーメを演じてこられたと思いますが、高橋さんから見たミーメというキャラクターは、『ニーベルングの指環』の中でどのようなもの（存在）でしょうか。

  高橋：とても「人間的」だということです。人の欲、業、性(さが)が、重要な局面になればなるほど見えてきます。
  数年前に『ジークフリート』のミーメを演じたときに、「もっと卑屈に演じられるかと思ったが…」とご意見をいただきました。たしかにミーメの人生を通じた卑屈さ、常に皮肉に満ちたキャラクターは根底にあるべきだと思いますが、立ち稽古を重ねるうちに、人の弱さや欲深さのほうを強く感じました。
  ゆえに、一つのキャラクターや表現の方向性にこだわるのではなく、場面ごとにいろいろな側面が見えることで、お客様にはミーメの中に、人間の真実を見出していただけるのではないか、と考えています。

  ミーメを演じる上で大変なことや苦労することはどのようなところでしょうか。

  高橋：とにかく単語の数が多いのです。膨大なドイツ語と音符を形にすることは、エベレストに登頂するがごとく、特に日本の歌い手にはハードルの高いことです。
  また、正しいディクション(発音法)で、かつきめ細やかなニュアンスのある歌にしなければなりません。さらには正確な音程だけを目指せばミーメのキャラクターが出ず、音程を外しすぎれば叫ぶだけの歌になり、塩梅がとても難しいです。
  あとは、マラソンのような持久力がないと歌いきれません。体力面でのスタミナは言うまでもなく、集中力が切れてしまうと、ミスが続出してしまいます。
  初めて舞台で衣装をつけて、通して歌い終えた時、恥ずかしながら楽屋でしばらく動けなくなってしまいました。舞台に立ってみてわかったことですし、稽古だけでなく、多くの本番＝舞台に立たなければ、この役は手の内には入らないと、強く感じました。

  ミーメというキャラクター自身がもつ魅力や、ミーメを演じることの醍醐味をお聞かせください。

  高橋：先にも述べましたが、非常に人間的なキャラクターです。「リング」はいわば「神々」の物語ですが、ことミーメは人間的です。
  「魔笛」のモノスタトスを歌うときにも感じるのですが、こうしたキャラクターに私は共感し、いとおしくなってしまいます。おそらく、ミーメやモノスタトスの持つ性格が、私の中にあるからかもしれません。
  また、「ジークフリート」のミーメは、主役や脇役というカテゴライズを越えて、先述したエベレストのごとく特別な難役です。しかし、舞台でミーメを「生きる」経験は、何物にも代えがたい特別なものです。準備や稽古がどんなに苦しくても、歌い終えたときになんとも言えない充足感があるのは、ワーグナーの才能の素晴らしさ、ということなのだと思います。

  最後に、本公演に向けての意気込みや、お客様へのメッセージをお願いいたします！

  高橋：日本でのワーグナー作品の上演は増えてまいりましたが、今回のようなプログラムはなかなかございません。飯守先生と東京シティ・フィルの組み合わせでしかできないサウンド、そしてワーグナーのスペシャリストによる歌を存分にお楽しみください。私も演奏を通じて、「リング」の世界に浸ります…。

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  増田のり子（ヴォークリンデ役）／金子美香（ヴェルグンデ役）／中島郁子（フロースヒルデ役）

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  ヴォークリンデ役／増田のり子Woglinde / Noriko Masuda

  開催を控え、増田さんの今のお気持ちをお聞かせください。

  増田：マエストロ飯守の傘寿を記念する演奏会に出演させていただける喜びと共に、マエストロのご期待に応えなければと身の引き締まる思いです。コロナ禍の中、海外からの歌手の方々や東京シティ・フィルの皆さんとも共演でき、今からワクワクしています。

  過去にも飯守と共演されていますが、飯守のワーグナー作品の曲創りに対する印象はどのように感じていますか？

  増田：マエストロとの最初の共演は、2008年2月の東京二期会『ワルキューレ』公演のジークリンデ役でした。その半年前の夏、マエストロに初めてお会いし、直々にコレペティ^*稽古をしていただきました。
  ワーグナー作品との向き合い方をまず最初にマエストロにお教えいただき、畏れ多くも大変幸運なことでした。それが私のワーグナー演奏の原点であり、今もベースになっています。
  2015年新国立劇場『ラインの黄金』の際には、歌詞を手書きし、注意すべき箇所を赤鉛筆で書き込んでくださったものをラインの乙女それぞれにくださいました。私に2枚に渡ってヴォークリンデの全ての歌詞を書いてくださり、マエストロの言葉に対する探究の一片を見せていただいた気がしました。
  その通りに歌詞を喋れば、その言葉からリズムが生まれ、音楽へと繋がっていくことを感じました。
  その紙を私たちは「マエストロからのラブレター」と名付けて、今回も私はそのラブレターを読み返しています。コレペティ・・・コレペティトール（またはコレペティートル）の略。
  歌手や弦、菅楽器演奏のピアノパートを弾きながら、歌手にアドバイスをする職業ピアニストのこと。ただのピアノ伴奏者ではなく、歌詞の発声や発音といった技術的なことから、台本や楽譜の解釈を伝えるまでオペラ上演には欠かせない重要な役割を果たす。

  これまで、今回のヴォークリンデをはじめ、本作品に登場するほかのキャラクターの役も演じてこられていますが、ヴォークリンデのキャラクター自身がもつ魅力や、このキャラクターを演じることの醍醐味をお聞かせください。

  増田：『ラインの黄金』ではオーケストラの序奏に始まり、まずヴォークリンデが歌い始めます。ヴォークリンデの歌によって、この長大な『ニーベルングの指環』の物語が始まります。そのあとに続く演奏者のモチベーションやお客様の期待感を上げる責任重大な役です。
  ラインの乙女には、ソロとアンサンブルの両方に魅力があり、それぞれのソロの部分では三人三様のソリストとしての個性を出しつつ、アンサンブルでは3人の声が溶け込んだ、絶妙なハーモニーを創り出す醍醐味があります。

  最後に、本公演に向けての意気込みや、お客様へのメッセージをお願いいたします！

  増田：まるで血液のようにマエストロの体の中を流れるワーグナーの音楽。マエストロの体から湧き出る音楽の流れに、私も共に乗っていけたらと思っています。
  そして、その大きな流れに包まれ、一時日常を忘れ、ワーグナーの深淵なる世界に浸っていただければと思っています。どうぞご期待ください。

  ヴェルグンデ役／金子美香Wellgunde / Mika Kaneko

  開催を控え、金子さんの今のお気持ちをお聞かせください。

  金子：私にとって飯守先生はたくさんのことを教えていただいた特別な存在の方で、先生の傘寿を記念する演奏会で歌わせていただくことを、とてもうれしく光栄に思っております。

  2008年に飯守の指揮で二期会『ワルキューレ』でデビューされていますが、飯守のワーグナー作品の曲創りに対する印象はどのように感じていますか？また思い出深いエピソードなどもありましたら教えてください。

  金子：私は飯守先生指揮の「ワルキューレ」にてグリムゲルデ役でデビューさせていただきましたが、急な代役で当時5日間ほぼ徹夜で譜読み暗譜をして臨み、当時ワーグナーの作品についてあまりに無知な私はとにかく無我夢中でした。その後先生とは、オペラだけでなく宗教曲など多くの作品をご一緒させていただき、先生の音楽に対する真摯な情熱にふれ、本当に多くのことを学ばせていただきました。
  先生は必ずその作品、その役の音楽が生まれるまでまったく妥協されることなくとことん稽古をしてくださいます。先生との稽古の中で、歌うのではなくいかにテキストを音に乗せて喋るか、ということ、そしてテキストの持つ音色を学ばせていただきました。
  いつも先生のお求めになる音に少しでも近づきたいともがき、音楽の中で先生の魂を感じることが常に私の喜びとなっています。
  思い出深いグリムゲルデ役で一昨年バイロイト音楽祭に出演させて頂いた時、先生に現地で聴いて頂けたことは本当に幸せなことでした。
  もう一つのエピソードは、私は元々ピアノ科を目指していたのですが、なんと先生とは同門だったことが後に判明してとてもうれしくご縁を感じました。

  ヴェルグンデのキャラクター自身がもつ魅力や、このキャラクターを演じることの醍醐味をお聞かせください。

  金子：以前歌わせていただいたフロースヒルデは3人の乙女の中では1番きっちりとしたキャラクターでしたが、ヴェルグンデは少々おふざけが強いキャラクターで、今現在の自分の声にはこちらの役が合うと思いますし、より自由にいろんな色を表情豊かに作りたいと思います。
  私は「ラインの黄金」の最初の世界が始まる音を聴くとそこから広がるリングの世界を想像し、本当にワクワクします。そこから乙女のシーンに入るのですが、ソロではそれぞれのキャラクターの違いがありとても演劇的で、アンサンブルでは水を漂うように音が溶け合うという魅力が乙女のシーンの醍醐味だと思います。

  最後に、本公演に向けての意気込みや、お客様へのメッセージをお願いいたします！

  金子：今回の公演は海外から豪華な歌手の方々が来日し、この壮大なリングの世界をハイライトで一度に味わえるのはとても贅沢な夢のような公演だと思います。
  先生の音楽をできる限り表現できるよう自身の音を求めて皆様にお届けしたいと思っております。そしてワーグナーの世界を皆さまと共に浸れることをとても楽しみにしております。

  フロースヒルデ役／中島郁子Flosshilde / Ikuko Nakajima

  開催を控え、中島さんの今のお気持ちをお聞かせください。

  中島：飯守泰次郎先生の傘寿記念という素晴らしい機会に、ワーグナー「ニーベルングの指環」ハイライト特別演奏会に出演させていただけますことを、大変うれしく思っております。飯守先生をはじめ、国際的に活躍なさっているワーグナー歌手の皆様、そして東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団との共演を今からとても楽しみにしております。

  これまで、今回のフロースヒルデをはじめ、本作品に登場するほかのキャラクターの役も演じてこられていますが、フロースヒルデというキャラクターは、『ニーベルングの指環』の中でどのようなもの（存在）でしょうか。また、このキャラクターを演じることの醍醐味をお聞かせください。

  中島：大変幸運なことに、私は、この数年間で、『ラインの黄金』フロースヒルデ、『ワルキューレ』フリッカ、シュヴェルトライテ、『神々の黄昏』ヴァルトラウテという、『ニーベルングの指環』の中で4つの役を演じさせて頂く機会に恵まれました。その全てが個性的で魅力に溢れている役柄ですが、気宇壮大なこの物語の冒頭に出てくるのが、ラインの乙女たちです。水の中を漂うような柔らかで優雅な音楽にのせて三姉妹が戯れているところから舞台は始まります。
  この役を演じることの醍醐味は、やはり三姉妹の音楽と演劇両方のアンサンブルではないでしょうか。少しお転婆でお喋りな三姉妹の掛け合いやアルベリヒと駆け引きをするような場面はスピード感があって、とても面白く、私は、思わずオペラブッファを演じているような気分になることがあります。三姉妹それぞれの性格も見えますが、フロースヒルデは、特に優等生気質で父親から任された黄金を守るという強い使命感を持っています。そのような性格からか、音楽的なアンサンブルでも女声三重唱の一番下をしっかりと支えるという存在でもあると思います。

  飯守とは今回が初めての共演ということで、楽しみに思うことや期待することをお聞かせください。

  中島：ワーグナーの作品に造詣が深くていらっしゃる飯守先生と、この作品で共演させていただけることは、夢のような時間です。
  先日の初めての稽古でも、その役柄としての言葉のニュアンスや声色等、とても丁寧なご指導を頂きながら、いつの間にか飯守先生の身体から湧き出るワーグナーの世界に引き込まれるようでした。これから本番に向けて、飯守先生と共に音楽を作り上げて行くことが出来ることを、心から楽しみにしております。

  最後に、本公演に向けての意気込みや、お客様へのメッセージをお願いいたします！

  中島：ワーグナーの壮大な作品『ニーベルングの指環』4作品をハイライト版で一度に堪能できることは、とても貴重な機会だと思います。出演させていただく私自身も、東京文化会館にどのような世界が広がるのか、今からとても楽しみにしております。会場にお越しくださる皆様と共に、その空間に現れる飯守先生の素晴らしいワーグナーの世界を共感出来ましたら幸いです。ご来場をお待ちしております。