History of 50 Years

これまでの東京シティ・フィルの軌跡をご覧ください。

cityphil track

1972年〜1975年
創立までの道のり

1972

第4回ユース・オーケストラ・インターナショナル・フェスティバルに参加

1972年(昭和47年)7月29日(土)、東京シティ・フィルの前身である東京ユース・シンフォニー・オーケストラがスイスのローザンヌで開催された第4回ユース・オーケストラ・インターナショナル・フェスティバルに参加しました。指揮は2002年(平成14年)に初代首席客演指揮者となる矢崎彦太郎に決定し、メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」などを演奏し好評を得ました。これによってフェスティバルの事務局から、2年後に開催された同フェスティバルにホストオーケストラとして指名されました。

第4回ユース・オーケストラ・インターナショナル・フェスティバルフライヤー
1974

再び渡欧、そして東京シティ・フィル結成へ

1974年(昭和49年)7月23日(火)、東京ユース・シンフォニー・オーケストラは再び渡欧し、開催地であるスコットランドにあるアバディーンに向かい、8月7日(水)に当時新進気鋭の指揮者でのちに初代常任指揮者となる堤俊作とともに出演しました。演奏は終演後30分ものアンコールを受けるほど絶賛され、帰国後、指揮の堤と出演した楽団員のメンバーを中心に新しい組織作りが始まりました。
翌年1975年(昭和50年)4月13日(日)に結成総会を開き、堤の発案で新しいオーケストラの名称を“市民(聴衆)の方を向いたオーケストラに”という想いを込めて「東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団」に決定しました。

再び渡欧、そして東京シティ・フィル結成へ

1975年〜1992年
初代常任指揮者 堤俊作の時代

1975

東京シティ・フィル始動、旗揚げ公演の開催へ

1975年6月10日(火)、日比谷公会堂で第1回演奏会を開催しました。指揮は堤が務め、プログラムはアバディーンで絶賛されたチャイコフスキーの交響曲第5番などを演奏しました。

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第1回演奏会 フライヤー
1977

テレビ番組「音楽の広場」と「題名のない音楽会」に抜擢

1977年(昭和52年)から、NHK総合テレビ「音楽の広場」と、テレビ朝日「題名のない音楽会」に抜擢されました。「音楽の広場」の初出演は1977年4月16日(土)、「題名のない音楽会」は同年4月15日(金)に初収録しました。

テレビ番組出演の様子
1977

記念すべき第1回定期演奏会の開催

1977年4月19日(火)に杉並公会堂で第1回定期演奏会を開催し、プロ・オーケストラとしての第一歩を踏み出しました。これを機に定期会員の募集を開始し、後援会を組織しました。

東京シティ・フィル 第1階定期演奏会フライヤー
1985

「題名のない音楽会」
20周年オーストラリア演奏旅行

1985年(昭和60年)4月に楽団創立10周年を迎え、同年4月25日(木)から5月2日(木)まで「題名のない音楽会」20周年オーストラリア演奏旅行に赴き、岩城宏之指揮による演奏会をブリスベーンとシドニーにて開催しました。

題名のない音楽会オーストラリア演奏旅行の様子

1975年〜1984年
第2代常任指揮者 十束尚宏の時代

1992

十束尚宏 常任指揮者就任披露特別演奏会を開催

1992年(平成4年)9月1日(火)、十束尚宏が第2代常任指揮者に就任。同日、十束尚宏 常任指揮者就任披露特別演奏会を昭和女子大学人見記念講堂にて開催しました。

十束尚宏 常任指揮者就任披露特別演奏会フライヤー
1994

江東区と芸術提携を結ぶ

1994年(平成6年)、東京シティ・フィルは東京都江東区と芸術提携を結びました。江東区、東京シティ・フィル、そして江東区と芸術提携を結んだ東京シティ・バレエ団は互いに協力・連携しながら芸術文化の発展と育成に取り組むこととなりました。

東京シティ・フィルは東京都江東区と芸術提携を結び握手する様子
1995

楽団創立20周年・第100回記念定期演奏会を開催

1995年(平成7年)1月31日(火)、社団法人(現・公益社団法人)日本オーケストラ連盟の設立が文部科学省(文化庁)から許可され、加盟した全国のプロ・オーケストラに東京シティ・フィルも加わりました。
同年、楽団創立20周年と第100回記念定期演奏会のダブル・アニバーサリー企画として、10月14日(土)に十束尚宏指揮でマーラーの交響曲第8番「一千人の交響曲」を演奏しました。

楽団創立20周年・第100回記念定期演奏会フライヤー

1975年〜1984年
第3代常任指揮者 飯守泰次郎の時代

1997

映画『もののけ姫』のサウンドトラックを担当

1997年(平成9年)7月に公開されたスタジオジブリ映画『もののけ姫』のサウンドトラックの演奏を担当しました。

もののけ姫イメージ画像
協力:徳間ジャパンコミュニケーションズ
1997

国際的指揮者 飯守泰次郎が
第3代常任指揮者に就任

1997年9月1日(月)、当時オランダを本拠地として活躍していた飯守泰次郎が第3代常任指揮者に就任。同年10月24日(金)に開催された常任指揮者就任コンサート (第117回定期演奏会)では、ワーグナープログラムと題して楽劇「ワルキューレ」第1幕(演奏会形式)などを演奏しました。

飯守泰次郎が
第3代常任指揮者に就任コンサート フライヤー
2000

本邦初オーケストラル・オペラ
「ラインの黄金」上演

楽団創立25周年を迎えた2000年(平成12年)9月2日(土)、東京文化会館大ホールで東京シティ・フィル創立25周年記念としてオーケストラル・オペラ/ワーグナー作曲 楽劇「ラインの黄金」全1幕を上演しました。話題性と期待値の高さからチケットは完売となり、大きな反響を呼びました。

*従来のオペラの上演スタイルや演奏会形式とは異なり、東京シティ・フィルがオーケストラとしての独自の視点で提案するオペラの新しい形式。
「ラインの黄金」上演写真
写真:木之下晃/©木之下晃アーカイヴス
2001

専属合唱団「東京シティ・フィル・コーア」
結成

常任指揮者 飯守泰次郎の発意により、専属合唱団「東京シティ・フィル・コーア」を結成。2001年(平成13年)7月27日(金)に開催した第152回定期演奏会でのブラームス《ドイツ・レクイエム》で初お披露目となり、歌声を響かせました。

東京シティ・フィル・コーア 演奏の様子
2002

矢崎彦太郎 初代首席客演指揮者就任と新シリーズ「フランス音楽の(あや)( かげ)

1972年のローザンヌで、東京シティ・フィルの原点である東京ユース・シンフォニー・オーケストラを指揮した矢崎彦太郎が初代首席客演指揮者に就任。フランス音楽に精通する矢崎の就任により東京シティ・フィルの新たな音楽性が開拓され、同年から矢崎がプロデュースする新シリーズ「フランス音楽の(あや)( かげ)」がスタート。このシリーズは2013年(平成25年)まで11年間続き、計20回の公演を開催し、33人の作曲家による約70作品を取り上げました。

矢崎彦太郎 演奏シーンとフランス音楽の彩と翳
2003

国際芸術交流支援事業(二国間交流)での
海外公演

2003年(平成15年)から2011年(平成23年)にかけて、文化庁後援の国際芸術交流支援事業(二国間交流)として、日本の芸術文化を発信し、音楽を通じた文化交流を目的に首席客演指揮者の矢崎とともに海外公演を開催しました。
シンガポール(2003年)、アメリカ(2004年)、フランス(2005年)、タイ(2007年)、インドネシア(2008年)、韓国(2011年)と計6カ国で開催し、いずれの公演も盛況となり二国間の文化交流にふさわしいものとなりました。

国際芸術交流支援事業(二国間交流)での
海外公演フライヤー
2005

「ティアラこうとう定期演奏会」がスタート

2005年(平成17年)4月に楽団創立30周年を迎えた東京シティ・フィルは、1994年に結んだ江東区との芸術提携10周年が過ぎたこの機に「ティアラこうとう定期演奏会」をスタートしました。記念すべき第1回は同年4月8日(金)に開催し、飯守泰次郎の指揮で演奏しました。

ティアラこうとう定期演奏会フライヤー
2005

オーケストラル・オペラシリーズで受賞

2000年に開催したオーケストラル・オペラ 楽劇「ラインの黄金」の成功で、東京シティ・フィルと飯守泰次郎は《ニーベルングの指環》4部作の完全制覇に着手。2001年9月1日(土)に「ヴァルキューレ」、2002年9月8日(日)に「ジークフリート」、2003年9月20日(土)に「神々の黄昏」をノーカット上演し、全4部作が完結しました。
そして2004年(平成16年)9月11日(土)に上演したオーケストラル・オペラ第5弾《ローエングリン》が、楽団創立30周年の2005年に「第2回三菱信託音楽賞奨励賞」を受賞しました。

オーケストラル・オペラ 全4部作上演シーン 写真:木之下晃/©木之下晃アーカイヴス

1975年〜1984年
初代音楽監督 宮本文昭の時代

2012

宮本文昭が初代音楽監督に就任

世界的オーボエ奏者 宮本文昭が初代音楽監督に就任。同年4月18日(水)に開催された就任披露演奏会(第258回定期演奏会)ではメインプログラムとしてブラームス《交響曲第2番》を指揮しました。

宮本文昭が初代音楽監督に就任演奏会シーン 金子 力
2012

宮本文昭音楽監督の改革

世界で活躍する宮本のアイデアと行動力により、これまでに無かった毎シーズンごとにスローガンを掲げる試みを行いました。1シーズン目は「完全燃焼」、2シーズン目は「飛翔」、シーズンラストの3シーズン目は「発!」を掲げ、広報物には宮本が揮毫きごうした文字が掲載されました。

宮本文昭音楽監督 定期演奏会「完全燃焼」「飛躍」「発!」フライヤー
2013

「東京シティ・フィルのドラゴンクエスト」
シリーズ開始

2013年1月20日(日)、東京シティ・フィルと公益財団法人新宿未来創造財団の主催で、井田勝大指揮によるすぎやまこういち 交響組曲「ドラゴンクエストⅢ」そして伝説へ…を新宿文化センター大ホールで開催しました。公演は大好評ですぐに第2弾が決定し、現在も子どもから大人まで幅広い世代に、壮大なドラゴンクエストの世界をオーケストラの生演奏で楽しんでいただける人気シリーズとなっています。

ドラゴンクエスト フライヤー

2015年〜現在
第4代常任指揮者 高関健の時代

2015

高関 健が第4代常任指揮者に就任

2015年(平成27年)4月に楽団創立40周年を迎え、第4代常任指揮者として高関 健が就任。同年4月11日(土)に開催された常任指揮者就任披露演奏会(第288回定期演奏会)では、スメタナの連作交響詩「わが祖国」(全6曲)を演奏しました。

高関建就任公演の様子 金子 力
2016

第300回記念定期演奏会
「ファウストの劫罰(ごうばつ)

2016年(平成28年)9月10日(土)に開催した第300回定期演奏会では、ベルリオーズの最高傑作といわれる劇的物語「ファウストの劫罰」を第300回という大きな節目の記念にふさわしい作品として取り上げました。

ファウストの劫罰 ステージ写真 金子 力
2017

第50回ティアラこうとう定期演奏会
オペラ「夕鶴」

2017年(平成29年)9月30日(土)に迎えた第50回ティアラこうとう定期演奏会では、常任指揮者 高関健による指揮で團伊玖磨のオペラ「夕鶴」を演奏会形式で上演しました。

オペラ夕鶴 フライヤー
2019

オペラ「夕鶴」ロシア公演

日露両国で文化の相互理解と友好関係を深める交流事業「ロシアにおける日本年」の一環として、マリインスキー劇場の全面的な協力のもと、2019年(平成31年)3月に常任指揮者 高関健とともに團伊玖磨のオペラ「夕鶴」を演奏会形式(ロシア語字幕付き日本語上演)で行いました。日本のオペラ作品の魅力を伝え、高い評価を得ました。

オペラ「夕鶴」ロシア公演 ステージの様子 写真提供:株式会社ジャパン・アーツ
2019

藤岡幸夫が第2代首席客演指揮者に就任

2019年4月に藤岡幸夫が第2代首席客演指揮者に就任。同年7月26日(金)に首席客演指揮者就任披露公演(第326回定期演奏会)を開催し、シベリウスやウォルトンの作品を並べ、英国音楽を得意とする藤岡の持ち味が発揮された公演となりました。

藤岡幸夫が第2代首席客演指揮者に就任公演の様子 金子 力
2020

新型コロナウイルス感染症の影響

2019年12月から世界で感染が始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行は翌2020年(令和2年)の年明けから日本に広がり、感染拡大防止のため演奏会の開催は中止を余儀なくされました。
同年6月26日(金)の第335回定期演奏会では当初予定していたプログラムを変更し、首席客演指揮者 藤岡幸夫の指揮でベートーヴェン「交響曲第7番」と、アンコール曲としてエルガーの「夕べの歌」を無観客の東京オペラシティコンサートホールからYouTubeで無料ライブ配信しました。

コロナ感染症でYoutube無料ライブ配信の様子
2021

飯守泰次郎傘寿記念「ニーベルングの指環」ハイライト特別演奏会の開催

2021年(令和3年)5月16日(日)、東京文化会館大ホールで桂冠名誉指揮者 飯守泰次郎傘寿記念としてワーグナー「ニーベルングの指環」ハイライト特別演奏会(演奏会形式・字幕付)で上演。世界最高峰のワーグナー歌手陣が入国制限や14日間の隔離など厳しい条件を乗り越え来日し、日本のワーグナー上演の中核を担う日本人歌手たちとともに4部作約15時間にも及ぶ作品を3時間余りに凝縮したかたちで演奏しました。公演は完売となり大成功を収め、2022年(令和4月)8月に「第30回三菱UFJ信託音楽賞」を受賞しました。

飯守泰次郎傘寿記念「ニーベルングの指環」特別演奏会の様子 K.Miura

現在

2025年(令和7年)4月、皆様に支えられ創立50周年の節目を迎えることができました。
これまで弊団に関わってくださったすべての皆様に心より感謝申し上げます。
これからの50年、100年に向けて東京シティ・フィルは歩み続けます。

弊団一同、起立して並んでいるグループ写真、指揮者と楽器を持つ奏者たちが写っている。

大窪道治

イラスト(トラック):河島貴裕