東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

インタビュー

2016年5月6日(金)

第297回定期演奏会「大地の歌」メゾ・ソプラノ独唱 小山由美さんに聞きました。

今回は5/14(土)第297回定期演奏会「大地の歌」でメゾ・ソプラノ独唱をされる小山由美さんにお話を聞きました。

「言葉にはならない音楽」と「言葉がないと伝えきれない音楽」―大地の歌に寄せて

―ドイツに留学なさってそのまま現地で活動続けられている理由を教えてください?

大学生の時に1年の予定で留学したのですが、留学中に色々とお仕事いただくようなりまして、1年、また1年とそのままドイツに残るようになりました。そのとき主人に会ったのも理由の一つかな(笑)。主人は作曲家でして、歌の伴奏をしてもらっていました。第1印象は・・・でしたけど。練習中に自分の曲を弾き始めましてね、それがカナダの大自然を想起させる良い曲で・・・この人は心の綺麗な人なんだな・・・というところです。

―ドイツで活動することへの不安はありませんでしたか? 言葉ですとか。

留学前からドイツ語では余り苦労はしなかったです。留学してから3ヶ月経った頃からドイツ語で夢を見るようになりました。ドイツに渡ってまず語学学校に通ったとき、リート(ドイツ歌曲)のコンサートをやらせていただいたのですが、お客様が感動の涙を流してくださって、その時外国人の自分でも、言葉と相まった音楽は伝わるのだと思いました。

―作品へのアプローチはどのようになさっていますか?

詩人のバックグランドと詩の内容それから作曲家がどういう音楽を付けたのかを勉強します。まず言葉ですね。言葉を読んで自分がどのように感じるか、その行間を読む作業をします。行間にある言葉にならない言葉を作曲家はどのように音楽にしたのか、そこを探るのが一番面白いですね。

―その点日本にいたときと、ドイツに行った後で感じ取ることは変わりましたか?

実はそこがドイツに行った理由のその一つなんです。まだ日本にいるときですがS.リヒテルが弾くのベートーヴェンのピアノソナタの旋律が突然ドイツ語に聞こえ始めたのです。突然のことで自分でもびっくりでした。またカラヤンとベルリン・フィルの来日公演のときもブルックナーの交響曲が言葉として聞こえてきました。これはどういうことなんだろうという疑問を抱えてドイツに向かいました、

そして数年後、ひょんなことからその疑問は解決しました。子どもが通っていた音楽教室を見学したら、リズムを音符でなくドイツ語の言葉を教えていたんです。言葉を音読させてリズム感覚を付けさせている。2分音符は4分音符の倍というような数学的理解ではなかったのです。そこで言葉と音楽の結びつきの深さを学びました。また大学を卒業後、南西ドイツ放送交響楽団の声楽アンサンブルに入団してドイツ人と一緒にいろいろな曲を歌ったことも大きな糧となりました。

言葉がいかに大事か。例えば強拍ではないところに言葉のアクセントが来ると言葉に揺れが生まれます。その揺れこそが音楽になっているところが面白いのです。

この「大地の歌」も言葉の内容と語感によって生み出された曲の一つです。「マーラーはわかりにくい」とよく言われますけど、言葉と音楽の関係が見えてくるとその魅力がわかるのだと思います。マーラーはどうして交響曲に言葉を入れたのかと考えると、きっと言葉を入れないと表現できない大事なニュアンスがあったのでしょうね。「言葉にはならない音楽」と「言葉がないと伝えきれない音楽」。その両方がマーラーの音楽の中にあるのではないかと思います。

―大地の歌の印象は?

マーラーはなぜこの詩に音楽を付けたのかと考えますと、もちろんその当時東洋趣味が流行していたというのが一面あるのでしょうけれど、やはりマーラー自身にこの詩と重ね合わさるものがあったのでしょう。他の交響曲とは違って、詞の内容に「友達」に対する個人的な思いが感じられますが、個人的であればあるほどそれは普遍性を持ってくる。そしてそれがさらに音楽と相まって開かれたものになっている。

いろんな色がある中で希望がある音楽ですよね。マーラー自身苦労してその辛さを通って見出した希望を感じます。第6楽章に Du mein Freund(おお友よ)というフレーズがあって「この世では良いことはなかった」と続くのですが、それは決して絶望しているのではなく、別の(向こうの)世界に希望を見出しているのだと思います。最後にEwig, Ewig (永遠に、永遠に、)と歌われますね。「マーラー=永遠に自分を探す魂」が表されているようにも思われます。

バッハにしてもベートーヴェンにしても素晴らしい作曲家は、精神的なものが昇華していき、永遠なるものにつながっていく音楽を残していると思います。他方で私たちは誰しも美しい人間性を持っている。だからこういう音楽が琴線に触れるのでしょう。そして求めずにはいられない。人間も捨てたものではないですね。

高関さんとは今回が初共演なのですが、マーラーを得意にしていらしている方ですので、とても楽しみにしています。みなさんも楽しみになさっていてください。

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インタビュー時期:2016年4月
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